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賃貸住宅での自殺を巡り、遺族が家主から高額な損害賠償を請求されるケースと言うニュースを見て思い出したこと

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賃貸住宅での自殺を巡り、遺族が家主から高額な損害賠償を請求されるケースが相次いでいるとして、全国自死遺族連絡会(宮城県仙台市、田中幸子代表)が22日、一定のルールを定めた法律制定を求める要望書を内閣府に提出する。

連絡会では、弁護士や大学教授らとともに研究会を設立。法案のたたき台を作るため、被害の実態調査にも着手する。

自殺のあった物件は、家主にとっては借り手がつかないなどの「被害」が生じることがあり、「心理的瑕疵(かし)物件」として遺族に損害賠償を求めることも多い。しかし、連絡会によると、遺族の混乱につけ込み、過大に請求するケースが相次いでおり、同会に寄せられた約200件の事例の中には「室内全体の改装費などとして約700万円を請求された」「おはらい料も求められた」といったものもあった。

 

ウチは、賃貸管理会社なので貸し手側の意見になってしまうのですが

今、事故物件を集めたサイトとか 安いからと言って事故物件を探す人とかいるみたいですけど どうなんでしょうね。

私は実際、そういう物件を何件か扱ったことがありますけど 自殺があった物件て全然借り手がつかないのです。

何年か前に(ウィルステージを始める前)、ある物件で自殺ではないのですが 事故(殺人とかそういう類ね・・・)がありました。

分譲マンションで、購入後、すぐに転属となってしまい 仕方が無く、貸すことにしたそうです。

賃貸後、半年くらいで事故が起きてしまいました。 法人契約の良い借り主が見つかったと喜んでいたのに一転地獄に突き落とされた 気分になったそうです。実況見分とか、そういうやりとりがしばらくあったのですが その後すぐにリフォームをして、貸しだそうと決めておりました。

ローンは待ってくれないわけですからね・・・。

ほぼスケルトン状態にして作り直す手配をしました。 ところが、リフォーム屋が中々、やりたがりません。 毎回使っていた業者に頼み込みましたが、1人でやる作業でも2人分の人件費を要求されたので 単純に、倍額の料金がかかりました。

ほぼスケルトンと言っても、全部ではないので 血がとれない箇所があり、これは特殊清掃の業者を手配しました。 金額は覚えていませんが、えらい高かったと言う記憶はあります。

施工の時間も通常の倍かかりました。 夜は工事やんねーとか、分譲マンションだったので この日は工事がだめだとか、土日はやるなとか、子供の帰る時間までには終わらせろ とか、とにかく大変でした。

やっとの事で、リフォームが終了。 そういえば、リフォームの前にお祓いをいれました。

ようやく募集と言う事になり

フルリフォームはしたものの やはり事故物件、それでもローンはあるしと言う事で とりあえず、ローンの支払額での募集という事にしました。

資料を作り、広告の下にこう記しました。

重要告知義務あり。内見される前は必ず事前にご連絡ください。

今でもたまにこういう広告を見る機会がありますが 見るたびにこの時の事を思い出します。

また募集と平行して 事故の被害者とやりとりをするわけですが これが、壮絶を極めました。 ちょっとこれはここには書けないので、興味のあるご友人は酒の席ででも聞いてください。

募集の方は、ローン金額でとはいえ、相場よりかなり安い金額でしたので 当時、ネットではなくて住宅情報誌が主流でした。それに掲載した途端 かなりの電話が鳴りました。エンドユーザーから仲介業者から 全部で100件くらい問い合わせが来ました。

電話で事故のことを伝えると その内残るのが全体の3割、だいたい30人です。

30人と内見の約束をしましたが、 内見前にキャンセルされた方が、半分残ったのが15人。

うち、5人が部屋の前で内見をされず帰りました。

10人が見ましたが、ほとんど1分以内で内見を終了しました。

鏡に何か映ったと言って慌てて逃げ出した人もいました。 それ、私だったんですけどね・・・写ったの。

最終的に具体的に検討するまで残ったのは3人くらいでした。

で、その内の1人が、募集金額から2割くらい減額希望を出し 申し込みをしてきました。

職業を言えば、ああ、なるほどね と言う方でした。

貸し主としては、毎月マイナスにはなるけど しばらく待ったとしても、借り手がつく保証はなく 1割でと折衝したものの相手も強気で、仕方が無く2割減で 減額交渉を飲みました。いや、飲んでいただきました。大家さんにね。

その後、管理者としての責任を大家さんではなく 大家さんの親御さんから問われたり、入居者とのやりとりもあったので まあ大変でした。

業界に入って3年目くらいで起きた事件なので 当時は本当にへこみました。 真剣に、オレはこの仕事は向かないと思いました。

それでも救いだったのは 大家さんが、

『誰が悪いわけでも無い。みんなが被害者なんだ』

と言ってくれたことです。

『君が不動産業界にいる限りこういう事もあるんだという事を皆に伝えて欲しい』

とも言ってくれました。

実際ここまで文章にするのは今回が初めてです。

その会社を離れ、当然私の手からも物件は離れましたが 今でもその大家さんから自宅へ年賀状が届きます。

ちょっと横道に逸れましたが

法外な請求と言っても実際いくらから法外というのか 分かりませんけど、当事者は本当に大変なのです。残された家族ももちろん、気の毒で、こういうやりとりは胸が痛みます。

こういう事に対して一定のルールはありません。 もし作るのであれば、お互いが不幸にならないようなルールを作って欲しいものです。

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