仕事の進め方、考え方

賃貸開発営業手記 俺を営業に連れて行け 第2話【詰める!締める!】

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営業に連れて行け

前回から1年後 当時28歳の出来事

あの後営業活動は気持ちが乗らず軽くスランプに。それと会社の物件もいくつか新築があったのでそれらに終われていました。業務が一段落して、そろそろ新規獲得の営業に出掛けねばと思い始めた頃、チャンスが到来しました。

案件は今回も下北沢。駅から歩いて5分もかからない場所、お知らせ看板出てからだいぶ経っていたので半ば諦め半分で大家さんのお宅へ電話。

「何社かは来ているけどまだ決まってはいないのよ」との事。

電話を切り早速原チャリを飛ばして訪問

「あら、あなた早いわね」オーナーは女性。住所は世田谷区の一等地。苗字から歴史のある家柄だと推測。 取りあえずこの日は挨拶だけ。

今回も足しげく訪問し、既に建っているアパートの管理をゲット

その後何度か訪問する内に、他にもアパートを持っている事が判明。そしてそのアパートの管理に対して大家さんはは不満げ。管理は仲介で有名な大手。 何でも担当がコロコロ替わり、毎月管理料はしっかり取るくせに、何かある とすぐ料金を請求、その時もゴミ置場のネットを付けただけで1万円以上請求されたとか。

それって、清掃局でタダで貰えるんですけどこの一言で火が着いた。

そこで、すぐではウチに。という話だと何だか嫌らしいんで一度クールダウンしてもらい数日後に訪問。

火は鎮火しておらず、大火事状態。では次回、解約の手続きを取る為の書類を幾つか用意しますと言う事で、その後無事既存アパートの管理契約終了。

トントン拍子で本丸へ

と、ここで大家さんから一つ要望が。元々この大家さん、下北沢に土地は持っていたけど行く機会はほとんどなく地鎮祭で一度行ったきり。こちらの管理物件の視察も含めて下北沢を案内して欲しいと。ここまで来たら王手も同然。クロージングまでは、案内を含めて後ニ手、いや三手で行こうと目論んでいました。

今回もTさん介入

案内を数日前にしたある日、事務所内でコソコソと航空写真と案内する物件の概略を作成しておりました。 ただ狭い事務所です。社内にいるときは株か社員観察が主な仕事のTの目に留まるまで時間はかかりませんでした。それは会社の情報だろ。誰に断って誰に渡そうとしているんだ?と言う取調べが始まりました。ったくゲスの勘繰りかよ(-_-#)仕方がないので、案件の事を報告。

すぐいこう!すぐ!

という話に…。

即断、即決営業

元々Tさんは今回の件、まとめるのに何回も大家さん宅へ行っていた私を快く思っておらず 、管理をいただいたアパートも管理料を以前の管理会社の半額と決めて来た事に対しても腹を立てていたらしく、そろそろ矢を突き立てる準備をしていたと推測でました。

大家さんの自宅までの車内で

なぜ一つの案件にこんなに時間をかけるんだ?
お前は詰めが甘い。もっと気合いでいかないと気合で!

大家さんを下北沢の管理物件へご案内

大家さん宅へ訪問し軽く挨拶の後、車で下北沢へ。案内する予定の建物は7棟。一棟目の建物。大家さんはこの手の賃貸マンションを、中まで入ってご覧になられるのは始めての様で、細部まで説明、

「こういった、ドアは付けた方がいいのかしら?」

オートロックの事。しびれを切らした様にTが切り出した。

好き好きです。

上がるイライラのボルテージ

2棟目、3棟目と進む内にTさんのイライラボルテージは上がっていく4棟目が終わり、さあ次の方向へ車を進めた瞬間

もういいでしょう!
後はみんな同じですよ!

またやりやがった…

帰りの車内はお葬式

強引に4件目で切り上げ。車でお送りして、管理の説明を最後にすると言う約束でしたがTは下北沢の駅で大家さんを降ろし帰そうとまでする始末。何とかTさんをなだめ予定通りに車で自宅へ戻りました。

疾風怒濤の『何で?』攻撃

自宅についてからからのTさんは追い込む、追い込む。

うちが1番ですよ、もういいじゃないですか、
決めましょうよ

「ええ、でもねえ、娘の意見も聞かなくてはいけないし」

え?でも決められるのは奥様ですよね?

「でもねえ・・・」

何でですか?何で?何で?何で?

Tは早口でまくし立てます。こうした問答がしばらく続きました。『何で?』を50回以上放っていたと思います。

「銀行の意見も聞いて近日中にお返事します」

銀行は関係ないでしょう。
銀行が部屋を借りてくれるんですか?何でですか?何で?何で?何で?

「でも、今日はそれしか申し上げられませんのでどうかお引き取り下さい」

やり切ったTさん、やってしまった私

車内でナゼカTは意気揚々。

どうだよ?俺の詰めは。ああいうババアはあそこまでやらないと

ははは。さすがですよね呆れて物が言えないとはこの事。

君もあれくらいハッキリ物が言えるようになればな

いや~お手本にさせていただきます悪い方の。

もうちょっとシメあげてやろうと思ったんだけどな。次はいけるだろ

オマエノクビヲシメタロカイ

数日後、大家さんから電話があった。宅へ。アパートを勝手に動かした事を娘にこっぴどく怒られた そうで、アパートの件も無かった事にして欲しいと。マンションの方も前に進むわけは無く銀行紹介の業者に決まった。

「まあ、凄い人でしたわね。やっぱり不動産会社を経営するにはあれ位エネルギーが必要なのかしらね」

志村
創業後、縁があってこの大家さんに再開しました。当初の銀行紹介の不動産業者は、全然ダメだったらしく今は某チェーン店がいい加減に管理しているようです。うちにお願いと言う流れにもなりそうになかったので、話はそこで終了。

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