仕事の進め方、考え方

賃貸開発営業手記 俺を営業に連れて行け 第1話【いきなり・・・!!!】

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営業に連れて行け

200X年前半戦、下北沢、西麻布で早くも2棟受注

その年、新築を仕入れる開発営業は好調で、下北沢、西麻布で一棟ずつ受注が決まっておりました。
当時27歳。大手ならともかく無名で僅か数名の会社で半年で一等地の新築マンションの募集管理を2棟受注。軽く有頂天になっていました。当然3棟、4棟と取るべく昼夜奔走。 普通の会社ならどんどん行け行けなんでしょうが、当時社員の中で一番年齢もキャリアも下、仲介客付けや使い走りをなければいけないポストにおりました。上司のTさん、毎朝速攻で出ていこうとする私を見て聞こえるように独り言を呟いていました。
Tさんは強烈なパワーハラスメント主義者。虐められ辞めて言った人間は両手では数え切れません。

そろそろ俺にもパワハラ攻撃が来るな、そう思いながら営業先へ

狙っていたのはやはり下北沢にあるテナントが3フロア、1ルームが幾つかあるマンション。大家さんとは数回お会い出来ており週に二回は賃貸に関する資料のコピーなんかを持っていって好感触でした。
ある日この大家さんから電話、 「君の熱意はよく分かった。うちには何社か来ているけど君が一番あししげく来てくれているよ」

\(^O^)/ありがとうございます
3棟目!?

頭を過ぎった瞬間

「でもねえ。君は何歳になる?」

27です。

「ウチの息子より年下だよ。」

はあ

「私もこの建物に大きな金額を投じているんだよ。それは分かるよね」

はい

「物腰や話振りからして30歳位かなあと思っていたけど、でも30歳位だったとしても、やはり申し訳ないけど不安なんだよ」

「いや、それで断ろうという事ではないんだよ。君が未熟だという事ではないが、当然君は会社の権限者ではないだろう?一度君の会社を見るという意味でも上の方とお会いしたいと思っているんだ」「ただ断っておくが、君のところに決めるという訳じゃないよ。他の会社は君より年も役職も上の人間が来ているから、そういった意味でも比較したいと思っている。」

ヤバイΣ( ̄□ ̄;)

受注は目の前 何とか他の上司に話を繋げたい

ただ同行してもらった方の上司とTで新たな確執が生まれるだろうなあ。Tは最高権限者でもあります。

こんな事を何日か考えていました。そうこうしている内に、Tのパワハラの矢がついに私に向けられました。当時その会社は社員僕を含め5人。Tは必ず誰かにパワハラの矢を突き付けていました。

しかも虐め方が半端では無い。これまで生きてきた中で人から虐められるという場面が一瞬たりとも無かった私としては屈辱以外の何ものでもありませんでした。

Tのパワハラは毎回一緒、決まって来店客に対してどういう対客をしているかから始めます。そして自分の時はああだったこうだったという自慢話から始まって精神論、その後は近々にしでかしたミスの追求です。こちらが白旗をあげるまで延々と。執拗に踏み潰して気が済んだら他へ矢をむけるという構図でした。しかも十坪ないほどの狭い空間、逃げ場が無い。

何度 ぶん殴って辞めようかと

そうするのは簡単でした。でも辞めたらあんたに任せるよって言ってくれた大家さんはどうなる?それに何年かしたら独立するという目標があったのでどんなに踏まれようと唇を血で滲ませながら堪えました。

とりあえず、延命のため案件を報告

Tは鼻息を荒わげ、

すぐ行こう!すぐ!

という反応、アポを取る電話も話しているそばから、ああでもないこうでもない 新入社員じゃないんだから電話位ゆっくりさせろよ

数日後、大家さんとアポが取れ同行訪問。

途中の車中、予想はしてましたがTの自慢話俺は営業で負けた事はない大家さんへの営業へ行くと必ず図面を貰って帰る(家賃を査定してねって意味)レベルが違うんだ俺は Tは意気揚々でした。確かにTは饒舌なところがあったんで、もしかしたら上手く行くかも そんな淡い期待を抱きながらオーナーのお宅へ

大家さん宅で先制攻撃

この案件の大家さん、ある上場会社の営業部長に就かれておられ、この年に退職、老後に備えて今回の賃貸マンションを計画されておりました。お宅へ上がるのは幾度とない訪問の中でこれが始めて。いつもは玄関での立ち話でした。 応接間へ案内され、奥様からお茶が。暫くして大家さんがやってきました。
「お茶をどうぞ」

とりあえずお茶を飲んで軽く会社紹介も兼ねた雑談から入ろうか、そう思った瞬間、Tは出されたお茶を一気に飲み、オーナーを凝視!

勢いよく

ウチにやらせて下さい!!!

Σ( ̄□ ̄;) え?

私も大家さんも鳩が豆鉄砲を食らった表情。

いきなりクロージング…

いや、いきなり締めの挨拶…

いや、いきなりブチカマシ…

いや、会ってその日にプロポーズ???

雑談も説明も何も無く、いきなりコレでOKしてくれるのはサラリーマン金太郎に出てくる豪快なお客さん位じゃないでしょうか(笑)。

開発営業は素人だったTさん

「いいたい事はよく分かりました。勿論今日結論は出せません。これから何社かとお会いしてから決めたいと思っております」

面談は、席に着いてから5分もたたずに終わりました。

帰りの車中はがっかりしすぎて放心状態・・・Tはそれを、むっとした態度ととったらしく私にこう言いました。

何?その態度?客のまえでもずっと口を尖らせていたね

いや、そういう顔なんで (-_-#) ていうか、逆ギレ、ていうか、人のせい (-_-;)

その夜大家さんから携帯へ電話がありました。土地購入を斡旋してくれた不動産業者に任せると。二度とTと一緒に開発営業にはいかない!強く心に誓った若き日のワタクシでした。

志村
こんな事もあったなあ。この建物は下北沢でもウィルステージの事務所に近いのでよく通ります。この時の事はここを通る度思い出しますね(笑)。

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